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【オワコン】元業界関係者が印刷会社の内情を暴露!【就活生必見】

印刷業界で10年以上働いた僕が、印刷業界の内情を暴露します。

転職してから時間も経ちましたので、内情を赤裸々に語りたいと思います。

印刷業界への就職・転職を考えている方は一読してみて下さい。

 

※転職の心構えは「【基本編】転職で失敗しないために必ずすべきこと」をご参考下さい

 

  

印刷業界の業界動向

印刷業界は、凸版印刷大日本印刷の2社で市場売上の7割近くを占めます。

次に、共同印刷などの準大手が1割の売上を占め、最後の1割を地場印刷会社が奪い合う構造になっています。

地場の競争は非常に激しく、職場環境も3K(キツイ・キタナイ・キケン)である事が多いです。

そのため、就職するなら準大手、もしくは地場売上TOP3までだと思っています。

 

ちなみに、地場の印刷会社は、地元の名士がやるような尊敬される仕事でした。

そのため、芸能人の実家が印刷会社なことは多いです。

テレ東の大江アナも実家は印刷屋さんと言っていますね。

 

では、市場トレンドの話に移ります。

尊敬されていた印刷会社が儲かる時代は既に終わっています。

印刷業界の市場規模は、2018年時点で約4.8兆円です。

2004年時点では約7兆円なので、15年間で市場規模は30%程度縮小した事になります。

 

事業者数(印刷会社の数)も、同様に右肩下がりです。

印刷ジャーナルなどの業界新聞サイトを見て頂ければ一目瞭然ですが、毎月のように多くの印刷会社が倒産している事が分かります。

業界団体は、一定の企業が淘汰されれば、残った起業は残存者利益で暫く安泰なので、今が踏ん張り時だと提言しています。

これは一時の話で、その後は再度市場が縮小していく事は明白です。

 

なお、電通が公表している日本の広告費をみると、広告費は右肩上がりです。

毎年2%くらい増えています。

世の中が公告にお金を使うのにも関わらず、印刷業界にはそのお金が落ちてこない状況にあります。

これは、テレビ、ラジオ、新聞にも言える事ですね。

伝統的な広告媒体の力が落ちてきています。

Web公告が独り勝ち状態です。屋外広告(サイネージとか)も微増です。

 

出版印刷、つまり本を印刷する会社はもっとオワコンな状況にあります。

雑誌などがデータ化し、世の中の人は、スマホタブレットで本を読むようになってきています。

そのため、沢山の雑誌が廃刊になりました。

残っているのは、活字で読む書籍や教科書・教材くらいでしょうか。

教科書は、政府方針でタブレット化する予定なので減る事が決まっています。

マシなのは同人誌くらいですが、 ネット通販が主体なので、激しい価格競争に勝ち抜く必要があます。

 

唯一元気なのは、商品パッケージやシールを印刷する会社くらいです。

特に、軟包装関係の印刷会社は忙しくて仕方ないようです。

政府による脱プラが推進されていますが、コスト削減を理由に、紙のパッケージを軟包装に転換してきた経緯があるので、法律でもできない限りは紙パッケージに戻る事は無いと思います。

 

問題なのは、パッケージやシール以外の印刷会社は、明らかな斜陽産業に成り下がった事です。

印刷では売上が立たないので、どの会社もWeb公告の分野へ参入したりして、小さな広告代理店のようになろうと、事業転換を図っています。

事業転換は非常に難しく、成功している会社は一握りです。

業界関係者で集まる新年会で、経営者たちが「非常に厳しい時代。今後どうして良いか分からない…」と、明るい話題を話すハズの新年スピーチで弱音を吐いてしまう程に、厳しい状態にあります。

印刷業界の内情

ご説明したように、印刷業界は斜陽です。

その中でも、多くの企業が所属する商業印刷分野は広告業界でも下流に位置しますので、働く方は大変です。

 

その内情を説明すると、クライアントが大手企業の場合、印刷会社が直接企画を提案することは殆ど無く、公告代理店の企画に付随する印刷物を下請けで対応するケースが多くなります。(凸版、大日本は除く)

クライアントの意向はコロコロ変わるので、最終的に印刷会社がシワ寄せを受け、短納期対応を迫られます。

これに対応するために、24時間3交代制で工場を稼働させる会社が多いです。

 

交代制シフトで働いている工場勤務の人はよいのですが、営業担当者は交代制ではないため、昼に営業活動をした後に、工場で印刷作業の立ち合いが発生し、不眠不休で働く事となります。

 デザイン業務も含め仕事をうけている場合は、デザイナーが夜間作業で印刷データを完成させ、その後深夜作業で印刷を完了させます。

 

毎日がこのようなブラック環境で働く訳ではありませんが、繁忙期となる12月~3月では、普通に深夜対応はありますし、3月は地獄です。

余裕があるのは、総務などのスタッフ部門くらいでしょう。

 

クライアントが中小企業の場合、広告企画から提案できるので、やりがいもありますし、納期も比較的余裕があります。

下請けは売上金額が大きいですが、実力が付くのは間違いなくコッチです。

印刷業界の今後

印刷業界はキツイ業界です。

経営環境も労働環境もキツイです。

経営状態が良い会社でも、労働環境は他の業界よりキツイです。

これから印刷業界に飛び込む人は、他の業界を検討する事をオススメします。

 

僕は、印刷機メーカーの立場でしたが、同僚や他のメーカーの人も含め、「印刷業界は楽しいけれど、印刷会社側に行ってはいけない。メーカー側で働くべき。」と言っていました。

印刷会社からお金を貰っているのに酷い発言ですが、多くの業界関係者がそう思っているのが現実です。

 

ネガティブな事ばかり言いましたが、印刷業界は縮小するけど、無くなる事は絶対にありません。

また、広告やデザインと密接に関わるため、トレンドの最先端に触れる機会が多く、刺激的な日々を過ごせます。

東京で話題のお店が進出してくるのを世の中よりも早く知る事ができますし、人気アーティストのライブポスターを印刷する事もあります。

 

僕は印刷業界から転職して良かったと思っていますが、印刷業界特有の派手さに慣れてしまっていたので、今の仕事は凄く地味に感じます。

 

次回は、印刷機メーカー側の内情を語ろうと思います、

 

お役に立てば幸いです。 

 

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