【営業マンにオススメのドラマ】ハル~総合商社の女~
年に一本くらいしかドラマを見ない僕ですが、営業マンとして共感できるドラマがあったので感想含めてご紹介します。
今クール始まった「ハル~総合商社の女~」です。
第2話が特にリアルで印象的でした。
第2話のストーリーは、シンガポールの大病院の買収案件をまとめる話です。
主人公ハルの勤務する総合商社は、大病院の買収を試みますが、ビジネスとして成功させるには医療サポートのノウハウを持ったスポンサーが必要だと判断します。
そこで目を着けたのが、日本の大手医療法人です。
ハルは、この医療法人の会長をあの手この手で口説き落とそうとするのですが、その手法が実際の営業手法そのままです。
オーナー企業攻略の教科書となるシーンが盛りだくさんなので、経営者相手の営業が苦手な方は一度見てみて下さい。
泥臭いですが効果は抜群です。
ハルが使った手法は5つです。
- 受付突破
- キーマン攻略
- 夜討ち朝駆け
- 直筆手紙
- 返報性の法則
受付突破
ハルは、日本の医療法人会長に会うためにアポの電話を入れますが、取り次ぎ担当から会長は知らない人とは会わないと断られます。
アポが取れなかったので、仕方なしに病院へ突撃します。
もちろん、病院でも受付で断られてしまいます。
食い下がってお願いすると、運よくキーマンである会長秘書が出てました。
現実での受付突破は、何度も通いつめてやっと担当者が出てくる感じでしょうか。
最近は受付も無人化されているので、企業相手だと直接担当者を呼び出すことになるでしょう。
ここまでの流れは、新規開拓ではアルアルな展開です。
新規開拓の営業マンは、自分も毎日こんな感じだと共感されたのではないでしょうか。
キーマン攻略
今回ハルが会うべき人は決裁者の会長ですが、直接アポがとれないのでキーマンである会長秘書を攻略します。
ハルは、この秘書からもは冷たくあしらわれます。
しかし、何度も通いつめるのを見て、会長が自宅にいる時間帯を教えてくれます。
ザイアンス効果という言葉は、営業をしていると必ず耳にしますが、今回はこれがうまく働いてキーマン攻略ができています。
ご存知ない方のために説明すると、接触機会が増えるほど親近感がわくというものです。
そのため、商談初期段階では、長時間の商談を一回やるよりも、短時間の商談で何度も訪問するのが良いとされています。
夜討ち朝駆け
名前が仰々しいですが、確実に決裁者がいるであろう時間帯に、自宅へ突撃訪問することです。
今はコンプライアンスの時代なので、自宅への押しかけはやめた方が良いです。
マジで捕まりますよ。
もしやるなら、顧客の会社へ朝晩訪問しましょう。
具体的には、朝早くから顧客の玄関前近くで待ち伏せして、会いたい人が出社してくるタイミングで名刺交換とアポイントを取り付けます。
また、最近はやる人が少なくなりましたが、競合している商談で、購買の意思決定がされる会議の日に1日中ビルの前で待つのこともアリです。
「会議の際に何か気になることがあれば、すぐ対応しますのでいつでも呼び出して下さい」などと言ったものです。
僕の同僚は、最終結論の段階になると毎朝顧客の玄関前を掃除していました。
もちろんトップ営業マンです。
顧客が年配オーナーの場合に限り有効です。
義理人情が薄い若い人にはウザがられるだけでしょう。
また、営業マン側も若手や女性の場合が良いと思います。
中年オヤジに毎日熱心に通われても、キモイだけでしょうから。
直筆手紙
夜討ち朝駆けをすると、いつかは会いたい人と話すチャンスが訪れます。
もちろん、いきなり押し掛けるので断られるケースが多いです。
資料を受け取ってもらえれば大成功です。
一度断られてしまうと、度々訪問しても意味がありません。
直筆手紙で想いを伝え印象付けた後に、再訪すると状況が好転する事があります。
なお、直筆手紙作戦は、クロージングの段階でも使えます。
最終提案の日に手紙を書き、翌日届くようにします。
夜討ち朝駆けは度を超すと、熱意を越えてただの嫌がらせになるので、手紙で顧客への接触を切らさないようにするのがこの手法を使う意図です。
返報性の法則
ハルは、夜討ち朝駆けと直筆手紙作戦で、最終提案の機会をもぎ取ります。
会長が貧しい人達へ医療サービスを提供することを理念としていることを知り、今回の買収を通じて近隣国の貧困層へサービス提供できる提案を行います。
残念ながら、あざといお涙作戦は通用しないと一蹴されます。
これは、現実世界でもよくあります。
どれだけ顧客と関係性を構築でき、感情的に提案内容を訴えても、ビジネス性がなければ提案は通りません。
ボランティアではないことを理解しないといけません。
結局は、現地の不動産王を協業スポンサーとすることでビジネス性を担保し、商談がまとまります。
最後にお礼として、会長のなくなった奥さんが会長へ送っていた白いバラをプレゼントしてハッピーエンドです。
ここまでの流れ全てに返報性の法則が働いています。
返報性の法則は、例え望んでいなくても相手から施しを受けると、人は何かしらお返ししなければならないという心理になる法則です。
何度となく足を運び、手紙を書いて、一生懸命提案し、思い出の花をプレゼントされると誰でも何かしらはお返ししなきゃと考えると思います。
ハルは、最後に会長から「人たらし」だと言われます。
営業マンとして最高の誉め言葉ですね。
なぜロボットやネット通販でなく、大事なものは人から買いたいのかを考えてみると、営業の存在価値が理解できると思います。
僕が顧客から言われて印象的だったのは、「営業は技術に詳しくなくても構わない。技術情報は技術担当に聞く。営業に求めるのは自分達が信頼できる人であること」という言葉です。
もちろん、技術に詳しくなければ顧客に刺さる提案は出来ませんが、なぜ技術者が直接提案すれば効率良いところを、わざわざ営業を介して提案するのかに対する答えを提示された気がしました。
お役に立てば幸いです。