最強営業スキルの効果を上げるには顧客タイプを見極める
現時点で営業最強スキルはチャレンジャーセールスだと思います。
そのチャレンジャーセールスの3つのスキルを有効に働かせるためには、使う相手が重要となります。
今回はスキルを使うべき相手についてご紹介します。
答えは「チャレンジャーセールスモデル」と同じ著者が書いた「隠れたキーマンを探せ!」で知ることができます。
この本もチャレンジャーセールスモデル同様に結構難しいのですが、熟読することでトップ営業マンに近づけますのでオススメです。
※チャレンジャーセールスモデルが分からない方は、「【営業の最終形態】顧客の常識を打ち破るチャレンジャーセールスを目指す - 食べすぎ営業マンのビジネスブログ
」をご覧下さい。
効果を上げるために購買プロセスを知る
具体策に入る前に、現在の購買における意識決定プロセスを知りましょう。
この認識がないと顧客タイプが理解できませんので。
簡単に言うと、購買プロセスに関わる人数が増えていおり、各々考え方が異なるので、集約された意見はつまらない一般的な解決策に落ちつくという内容です。
一般的な解決策はどの会社でも対応できるコモディティ化された商品で実現できるでしょうから、そこで戦うのはレッドオーシャンです。
相見積もりを取られて各社疲弊し、誰も幸せにならない商談となります。
著者によると、平均で5.4人が購買プロセスに関わるそうです。
ここで考えられるのは、5.4人全員を説得すれば提案が通るのではないかということです。
しかし、現実は5.4人全員を説得し終わるまでは時間が掛かり過ぎますし、その中で反対する人がいれば提案の検討は止まります。
そのため、顧客内で他者を説得してくれる人を見つけるのが最善策と本書は説明しています。
なお、購買プロセスの中で営業マンに声がかかるのは、すでに54%の検討が完了した段階だそうです。
この時点では、既に一般的な解決策で決定しています。
ちなみに、37%時点では社内のコンセンサスが取れず、多くの商談が営業マンの知らない間に消滅します。
自分の提案が知らない間にゴミ箱行きになっているのは凄くショックですよね。
やっと相談を受ける段階になっても、価格のみで比較検討することが決定事項となっていると営業マンとしてはやってられません。
この事実から、営業マンは37%の時点で購買に関与する5.4人にどうやってアプローチするかを考えることになります。
5.4人の顧客タイプを見極める
5.4人の全員と面談するのは時間が掛かりますし、納得させるのは至難の業です。
昔のように商品単価が高くビジネスのスピードが遅ければ、1件の商談に時間をかけられるのでこれでも良いのでしょうが、現在はこのスピード感で商売をしていては会社が成り立ちません。
より効率的な方法を検討するべきです。
本書では、顧客を7つのタイプに分け、その中の推進者と商談を進めることを推奨しています。
【顧客の7つのタイプ】
➀ゴー・ゲッター
・他者の良いアイディアを支持する
・つねにも止められる以上の成果を出す
・ミスから学び進歩する
➁スケプティック
・不透明なプロジェクトを危険と見なす
・影響力の強い関係者を破壊的なアイディアに震えさせる
・変革にはまず小さな成功が必要だと考える
➂フレンド
・接触しやすく、販売員との会話を楽しむ。
・販売員と同僚のネットワークを築く
・販売員に惜しみなく時間を割いてくれる。
④ティーチャー
・新しい知見を教える
・同僚や幹部から意見を求められる
・他者の説得がうまい
⑤ガイド
・ベンダーには手に入りにくい情報を提供する
・ベンダーと話すときは真実を述べる
・情報を公平に分配する
⑥クライマー
・プロジェクトから個人的利益を得る
・リスクをとったことに対する個人的報酬を望む
・成功談を話したがる
⑦ブロッカー
・安定そのものが目標だと考える。
・改善プロジェクトは気が散ると考える
・めったにベンダーを助けない
もちろん、単純に7つに分類はできず、現実には2つ以上のタイプを兼ね備えるので注意です。
この7つのタイプは、「モビライザー」と「トーカー」に分類できます。
商談を進めるのは、モビライザーです。
トーカーは情報をくれるので有益ですが、この人たちと面談を重ねても商談は進捗しません。
さっさと情報を抜いて、モビライザーに会いに行きましょう。
ちなみに「ブロッカー」は邪魔されるだけなので会う必要は無いです。
タイプはこんな感じで見極めましょう。
モビライザーに効果的な提案とは
アプローチすべきがモビライザーと分かれば、次に考えるべきは彼らに何を提案するかです。
タイプの見極めも難しいですが、何を持って行くかが一番難しいです。
この問いに対する答えは、インサイトです。
※インサイトについては、「ソリューション営業はオワコン??インサイトセールスを極める - 食べすぎ営業マンのビジネスブログ」をご覧下さい。
顧客が既に気づいている問題点を提示しても、「そうなんですよね~」と共感を得るだけです。
顧客が気付いていない課題を提示して初めて、「ヤバイ!何かしら手立てを考えなきゃ」となります。
本書には商談のアプローチ事例がのっていますが、このやり方は僕の会社と全く同じやり方です。
何となく安価でありきたりな製品を購入しようとしている顧客に対し、そもそもなぜ購入しようとしているのかをヒアリングし、そんな理由で購入してはダメだということを認識させます。
そして、顧客の現状を維持したいというバイアスを壊すことで、自社に助けを求めてくるように誘導していきます。
バイアスを壊す手っ取り早い方法は他社事例の紹介です。
顧客が世間に後れを取っている事実を突きつけることができます。
事例がなければ、何かしらのフレームワークを使って、顧客がマズイ状況に陥っていることを客観的事実として認識させましょう。
この時に重要となるのは、自社しかできない解決策を併せて提示することです。
これば出来なければ、単に無料コンサルしてあげただけです。
僕がいた業界でも、競合他社が「課題とかソリューションはA社(僕の会社)に聞いて下さい。解決策が見つかったらウチの製品で実現しましょう。絶対にA社の見積りより安くしますので」というアプローチをしていました。
ふざけた営業スタイルですが、事実何件かは負けてしまいました。
顧客へインサイトをどう届けるか
キーマンである「モビライザー」にインサイトを提示する必要があることはご理解いただけたと思います。
問題はどうやって届けるかです。
営業が全員と面談するのは時間が掛かり過ぎます。
解決方法は、マーケティング活動(ブランディングとプロモーション)です。
※マーケティングについては、「頭一つ抜けた営業になるに「マーケティング」を知る - 食べすぎ営業マンのビジネスブログ」をご覧ください。
複雑な購買プロセスを営業マンの力量だけで乗り切るのは無理です。
営業マンの活動に加え、会社全体で自社製品やサービスのブランドイメージを構築し、具体的メリットを訴求します。
5.4人の内、モビライザーを除いた4.4人に対し、商談が具体化していない通常時からメリットを認識させるのです。
これが実現できていれば、モビライザーが他の購買関係者に対し購入を働きかけた際に話が通りやすくなります。
BtoBの世界は、営業マン頼みのところがありましたが、もうそれだけでは勝てないということですね。
CM、業界誌、セミナーイベントなどでキーマン以外の顧客に対してもアプローチするべきです。
とはいえ、 営業マンの立場としては、広報宣伝部に頼るしか術がないというのは存在価値がありませんので、顧客の意見を集約し、どういうマーケティングが効果的かレポートすべきでしょう。
営業単独で対応できる範囲で、5.4人へアプローチすることは言うまでもありません。
小規模のセミナー勉強会くらいなら営業マン単独でも開催できますしね。
まとめ
- 営業の知らないところで購買プロセスは進む
- 営業の知らない購買プロセス初期段階での顧客アプローチはマーケティング活動が有効
- 営業マンも顧客の要望を集約してマーケティング部門へレポートする
- マーケティング活動と並行して営業マンはキーマンとなる「モビライザー」へアプローチする
- 「モビライザー」へのアプローチ内容はインサイトの提示
- インサイト提示の際、自社でしか対応できない解決策を提案する
お役に立てば幸いです。